電子契約書の保存方法:電子帳簿保存法の電子取引ルール
電子帳簿保存法の電子取引ルールで、メールや電子契約サービスで結んだ契約書をどう保存するか。保存期間、真実性・可視性の要件、紙の保存では足りない理由、令和6年からの猶予措置、フリーランス向けのチェックリスト。
結論:電子契約書はデータのまま保存する
電子帳簿保存法は、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書などに通常記載される事項(取引情報)をデータでやり取りする取引を「電子取引」と定め(法2条5号)、所得税・法人税の保存義務者(個人事業者と法人)に取引情報をデータのまま保存するよう義務付けています(法7条)。契約書は条文に名前のある書類です。
フリーランスのデザイナーがクライアントと業務委託契約を電子契約サービスで結んでも、メール添付のPDFで合意しても、契約書データは保存の対象です。国税庁の一問一答はクラウドで取り交わした雇用契約書も対象とし、金額のない秘密保持契約(NDA)も同じ扱いで保存するのが安全です。
保存期間は所得税法・法人税法の定めによる
電子帳簿保存法は保存期間を独自に定めず、その契約書を紙で受け取ったとした場合に各税法で保存すべき場所と期間がデータにも適用されます(施行規則4条1項)。
国税庁の一問一答の表では、法人の書類は原則7年(欠損金が生じた事業年度などは10年)で、起算日は確定申告書の提出期限の翌日です。個人の青色申告者は、請求書・見積書・契約書・納品書などの書類が5年、帳簿と決算関係書類が7年です。自分の区分は表で確認します。
真実性の確保と可視性の確保
真実性の確保は四つのうち一つで足ります。タイムスタンプ付きのデータを受け取る、授受後おおむね7営業日以内にタイムスタンプを付す、訂正・削除の記録が残るか訂正・削除できないシステムで授受と保存の両方を行う、正当な理由のない訂正・削除を防ぐ事務処理規程を定めて運用し備え付ける。専用システムがなければ最後が現実的で、国税庁が規程サンプルを公開しています。
可視性の確保は、ディスプレイとプリンタで整然かつ明瞭に速やかに出力できること、取引年月日・取引金額・取引先で検索できることです。税務調査でデータのダウンロードの求めに応じられるなら範囲指定や組合せの検索は不要になり、加えて基準期間(個人は前々年、法人は前々事業年度)の売上高が5,000万円以下か、出力書面を日付と取引先ごとに整理して提示できるなら、検索機能自体が不要です。
メールや電子契約サービスで受け取った契約書
メール添付のPDFで受け取った契約書は添付ファイルを、本文に取引情報があればメール本文も保存します。メールソフトで開けるだけでは足りず、検索できる状態で保存します。相手が紙の契約書を正本として渡し、内容が同一なら紙の保存で足ります。
電子契約サービスやクラウドを通じた授受も電子取引です。サービス上に置いたままでも、ダウンロードして自分で保存しても構いませんが、保存先が真実性と可視性の要件を満たす必要があります。解約やサービス側の保存期限に備え、完了した契約書PDFは保存期間が終わるまで自分でも持ちます。内容を自分で入力し直したデータは保存と認められません。
紙に印刷して保存するだけでは足りない
令和3年度の税制改正で、電子取引データを紙に出力して保存する方法は廃止されました(令和4年1月1日施行)。令和5年12月31日までの電子取引に認められた宥恕措置(やむを得ない事情があれば出力書面だけでよい)は、その日で終了しました。
令和6年1月1日以後は猶予措置に変わりました。所轄税務署長が要件どおり保存できなかった相当の理由(人手不足など。届出は不要)を認め、かつ税務調査でデータのダウンロードの求めと出力書面の提示・提出の両方に応じられるなら、要件を満たさなくてもデータの保存で足ります。出力書面だけ残してデータを消すのは認められず、要件を満たさない保存は青色申告の承認取消しの対象になり得ます。令和9年1月1日以後に任意のデジタルシームレス保存が始まっても、この義務は変わりません。
QuoteBillの役割と保存のチェックリスト
QuoteBillの電子契約が作るのは監査ログ付きの簡易な電子署名です。署名記録はQuoteBill自身の記録で、証拠ファイルは誰でも照合できますが、高度・適格電子署名ではなく、署名者の本人確認も行いません。総務大臣認定のタイムスタンプでも、電子帳簿保存法などの認証を受けた保存システムでもなく、この記事は法的・税務上の助言でもありません。税法上の保存はご自身で行い、契約が完了したら次を整えます。
- 署名記録付きの契約書PDFと証拠ファイルをダウンロードし、相手方にも同じものを保存してもらう。
- ファイル名は「20260115_株式会社霞商店_110000」のように日付・取引先・金額の順。金額のない契約書は空欄か0円で統一する。
- 取引先別または年別のフォルダに集め、別の場所にもバックアップを置く。
- 国税庁のサンプルを基に事務処理規程を定め、訂正・削除を原則禁止にして運用する。
- 税務調査でデータの提出と画面・紙への出力をすぐにできるか、年に一度試す。
参考資料
無料の見積書・請求書・領収書テンプレート225種
適格請求書テンプレート(税率1種類)
品目、数量、単価、税額を入力し、プレビューで確認してPDFとして保存できます。支払条件と支払期日もあわせて記載できます。
無料見積書作成ツール
作業範囲、数量、単価、有効期限を入力し、プレビューで確認してPDFとして保存できます。承認されたらそのまま請求書に変換できます。
領収書テンプレート
受け取った支払いの日付、支払方法、対象の請求書、金額を記録し、PDFとして保存できます。
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