フリーランス法の取引条件の明示:メールで示せる8つの事項
2024年11月1日施行のフリーランス法で、発注者が直ちに書面またはメールで明示すべき8つの取引条件、電磁的方法の条件、紙を求める権利、60日以内の支払期日、QuoteBillでできることと相談先をまとめました。
結論:発注者は取引条件を直ちに書面かメールで示す義務があります
フリーランス法(令和5年法律第25号)は2024年11月1日に施行されました。フリーランスに業務を委託した事業者は、直ちに、業務の内容、報酬の額、支払期日などの取引条件を書面または電磁的方法で明示しなければならず(第3条第1項)、口頭だけでは足りません。
様式や名称は自由で、契約書でも発注書でも、必要事項がそろったメール一本でも構いません。従業員のいない会社がフリーランスのデザイナーにロゴ制作を頼む場合も対象です。この記事は公式資料に基づく一般情報で、法的助言ではありません。
誰が守られ、誰に義務があるか
守られるのは「特定受託事業者」、つまり従業員を使用しない個人か、代表者一人のほかに役員も従業員もいない法人です(第2条第1項)。会社員の副業もその範囲で該当し得ます。「従業員を使用」とは、週の所定労働時間20時間以上で31日以上の雇用が見込まれる人を雇うことです。
明示義務(第3条)はフリーランスに委託するすべての事業者にあり、フリーランス同士でも同じです。従業員を使う個人や、役員が二人以上いるか従業員を使う法人(特定業務委託事業者)にはさらに、給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間に支払期日を定めて支払う義務があります(第4条)。
直ちに明示する8つの事項
明示事項は公正取引委員会規則第1条にあり、公式資料では次の8つにまとめられています。「直ちに」とは一切の遅れを許さないことです。正当な理由で決められない事項は、理由と決める予定日を示し、決まり次第、直ちに補充します。
- 発注者とフリーランス双方の名称。屋号でも、双方を識別できれば足ります。
- 業務委託をした日。業務を委託することに双方が合意した日のことです。
- 給付の内容。品目、数量、規格、仕様を具体的に。知的財産権を渡すならその範囲も。
- 給付を受領し、または役務の提供を受ける期日。納品日や作業日のことです。
- 給付を受領し、または役務の提供を受ける場所。メール納品ならアドレスで足ります。
- 給付の内容を検査する場合は、検査を完了する期日。検査がなければ不要です。
- 報酬の額と支払期日。原則は具体的な金額で、税込ならその旨を明記し、期日は特定の日にします。
- 現金以外(手形など)で支払う場合は、その支払方法に関する事項。該当するときだけです。
メールやチャットでの明示と、紙を求められたとき
電磁的方法とは、電子メールやSNS・チャットのメッセージなど受信者を特定して送る方法と、USBメモリなどの記録媒体を渡す方法です(規則第2条)。PDFの添付やURLの記載でも構いませんが、誰でも見られるウェブページへの書き込みは不可です。クラウド共有も相手が確認できる状態になれば到達とみなされます。
電磁的方法で受け取ったフリーランスは書面の交付を求めることができ、発注者は遅滞なく交付しなければなりません(第3条第2項)。例外は、本人が電磁的方法を求めた場合、ネットだけで完結する定型約款の取引で約款を閲覧できる場合、書面を交付済みの場合です。
QuoteBillでできること、できないこと
QuoteBillの見積書と請求書には双方の名称、発行日、品目・数量・単価、消費税と合計、取引条件と備考(納品日や納品先、検査完了日はここに書きます)の欄があり、請求書には支払期日もあります。見積書から電子契約を作ると当事者と代金明細、支払条件が引き継がれ、「フリーランス業務委託契約書」のひな形も選べます。
QuoteBill E-Contractsが作るのは監査ログ付きの簡易な電子署名です。署名記録はQuoteBill自身の記録で、証拠ファイルは誰でも照合できますが、本人確認は行わず、高度・適格電子署名やタイムスタンプ、法令上の保存システムではありません。8つの事項がそろっているかはQuoteBillでなく利用者が確かめます。
仕事を受けるときのチェックリストと、条件が示されないときの相談先
口約束で仕事が始まりそうなら、まず条件をメールで送ってほしいと頼みます。来ないときは、厚生労働省の委託で第二東京弁護士会が運営する「フリーランス・トラブル110番」(0120-532-110)で弁護士に無料で相談できます。法律違反と考えられる場合は公正取引委員会や中小企業庁に申し出ることができ、申出を理由とする不利益な取扱いは禁止されています(第6条)。
- 発注者と自分の名称、業務委託をした日が、メールか書面に残っているか。
- 納める内容と数量、納品日と納品先(メールアドレスでも可)が具体的か。
- 報酬の額が税込か税抜か分かり、支払期日が特定の日になっているか。
- 未定の項目があるなら、決められない理由と決める予定日が書かれているか。
- 受け取ったメールやPDF、署名済みの契約書と証拠ファイルを自分で保存したか。
参考資料
無料の見積書・請求書・領収書テンプレート225種
ウェブデザイン見積書
作業範囲、数量、単価、有効期限を入力し、プレビューで確認してPDFとして保存できます。承認されたらそのまま請求書に変換できます。
グラフィックデザイン請求書
品目、数量、単価、税額を入力し、プレビューで確認してPDFとして保存できます。支払条件と支払期日もあわせて記載できます。
適格請求書テンプレート(税率1種類)
品目、数量、単価、税額を入力し、プレビューで確認してPDFとして保存できます。支払条件と支払期日もあわせて記載できます。
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