請求書の源泉徴収|10.21%の計算・消費税の書き分け・記載例

報酬から差し引く源泉所得税の対象、100万円以下は10.21%、超える部分は20.42%の計算式、請求書で報酬と消費税を分ける理由を、国税庁の資料と数字の計算例で解説します。

ひと目でわかる

読了目安 約6分

結論:差し引くのは支払う側。請求書では報酬と消費税を分ける

フリーランスが請求書を出し、取引先が報酬から所得税を差し引いて税務署に納める。これが報酬の源泉徴収です。差し引くのは支払う側の仕事で、対象になるのは、原稿料や講演料、デザインの報酬、弁護士・公認会計士・司法書士などへの報酬など、国税庁が示す報酬・料金です(タックスアンサーNo.2792、令和8年4月1日現在法令等、2026年10月6日確認)。

請求する側にできる大事な準備は、請求書に報酬の額と消費税等の額を分けて書くことです。国税庁は、請求書等で報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されていれば、報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額としてよいとしています。この取扱いは、インボイス制度が始まった後も変わりません。

源泉徴収の対象になる報酬と、ならない場合

タックスアンサーNo.2792は、居住者に支払う報酬・料金のうち、源泉徴収の対象となる代表的なものを次のように挙げています。謝礼、取材費、車代などの名目でも、実態が報酬・料金と同じなら対象になります。

対象にならない場合もあります。報酬を受け取る人が内国法人なら、競馬の賞金を馬主である法人に払う場合を除き、対象外です。また、報酬を払う側が個人で、給与等の支払者でないとき(または常時2人以下の家事使用人にだけ給与を払っているとき)は、ホステス等への報酬を除き、源泉徴収する必要がありません(タックスアンサーNo.2793)。

ここにない仕事が対象かどうかは、報酬の中身と国税庁の「源泉徴収のあらまし」で確認します。判断は支払う側が行うもので、迷うときは税務署に確認します。

  • 原稿料や講演料など(謝金や取材費の名目でも、実態が同じなら対象)
  • 弁護士、公認会計士、司法書士など特定の資格を持つ人に支払う報酬・料金
  • プロ野球選手やプロサッカー選手、モデル、外交員などに支払う報酬・料金
  • 映画、演劇その他の芸能、テレビ放送等の出演などの報酬・料金
  • デザインの報酬。国税庁の質疑応答事例は、ポスターなどのイラストやレタリングへの報酬をデザインの報酬として源泉徴収の対象とし、コピーライターへの報酬は原稿の報酬に当たるとしています。

税率と計算式:10.21%と、100万円を超えた部分の20.42%

源泉徴収する税額は、支払金額(源泉徴収の対象となる金額)に応じて、次の式で求めます。求めた税額に1円未満の端数があるときは切り捨てます(タックスアンサーNo.2795、2026年10月6日確認)。

10.21%は、所得税と復興特別所得税を合わせた率です。国税庁の手取契約の計算例には「10%×102.1%」と示されています。なお、国税庁のページは、令和9年分以後は税の名称が「所得税、防衛特別所得税および復興特別所得税」になると注記しています。支払う年の税率は、その時点の国税庁のページで確認してください。

支払金額が100万円以下
支払金額 × 10.21%
支払金額が100万円を超える
(支払金額 − 100万円)× 20.42% + 102,100円
国税庁の例
150万円の原稿料なら、(150万円 − 100万円)× 20.42% + 102,100円 = 204,200円

計算例:報酬10万円と、100万円のとき

例1。デザインの報酬が100,000円(税抜)、消費税が10,000円で、請求金額は110,000円です。請求書に報酬と消費税を分けて書けば、源泉徴収の対象は報酬の100,000円だけです。源泉徴収税額は100,000円 × 10.21% = 10,210円、実際に振り込まれる金額は110,000円 − 10,210円 = 99,790円になります。

例2。報酬が1,000,000円(税抜)、消費税が100,000円のとき、区分して書けば、源泉徴収税額は1,000,000円 × 10.21% = 102,100円です。区分せず税込の1,100,000円とだけ書いた請求書では、原則どおり消費税等を含めた金額が対象となり、(1,100,000円 − 1,000,000円)× 20.42% + 102,100円 = 122,520円と、20,420円多く差し引かれます。

請求書に書くこと

源泉徴収の対象になる報酬を請求するときは、支払う側が計算しやすいように、次の点を請求書に書いておきます。QuoteBillの請求書には、源泉徴収の専用の行がありません。報酬と消費税を別の行に書き、印刷される合計を請求金額とし、源泉徴収の額と振込予定額は備考に書きます。

  • 報酬の額(税抜)と消費税等の額を、別々の行に書く。
  • 源泉徴収の対象になる報酬の内訳(原稿料、デザイン料など)を、明細に書く。
  • 請求金額(税込)と、源泉徴収税額を差し引いた振込予定額を、備考に書く。
  • 課税事業者でインボイスを交付するときは、登録番号(T+13桁)を書く。

納付は支払った月の翌月10日まで

源泉徴収した税額は、支払った月の翌月10日までに納付します(タックスアンサーNo.2795)。国税庁は、原稿料や講演料などから源泉徴収した税額は納期の特例の対象にならないとしています。

弁護士や税理士などへの報酬は、納期の特例の適用を受けている支払者なら、1月から6月に支払った分は7月10日、7月から12月に支払った分は翌年1月20日が納付期限になります(同No.2798)。

手取りで契約したときの計算

「手取り10万円で」のように、源泉徴収後の手取額で契約することもあります。国税庁の計算方法は、税率が10.21%の場合、手取額 ÷ 0.8979 = 支払金額です(タックスアンサーNo.2792のQ&A)。手取10万円なら、100,000円 ÷ 0.8979 = 111,370円、源泉徴収税額は111,370円 × 10.21% = 11,370円(1円未満切り捨て)、手取額は111,370円 − 11,370円 = 100,000円です。

手取額が897,900円を超えるときは、二段階の税率に合わせて、(手取額 − 102,100円)÷ 0.7958 = 支払金額の式を使います。手取りで合意するよりも、請求書には報酬の額と消費税等の額を書き、源泉徴収後の金額は備考に書くほうが、双方で照合しやすくなります。

QuoteBillの計算ツールと、送る前の確認

QuoteBillの日本の計算ツールには「源泉徴収などの控除率(%)」の欄があります。税抜金額を入れ、税率に10、控除率に10.21を入れると、消費税、控除額、支払額を確認できます。ただし、計算ツールは1円未満を四捨五入し、国税庁は切り捨てなので、1円違うことがあります。また、控除率は一つしか使えないため、100万円を超える二段階の計算はできません。手で確認してください。

このページは国税庁の公開情報をもとにした一般的な説明で、税務上の助言ではありません。源泉徴収の要否や税額は、報酬の内容と支払う側の状況で変わります。

0/4

サンプル契約書・書式・ツール

参考資料

無料の見積書・請求書・領収書テンプレート536種

  • フリーライター請求書テンプレート

    文字単価の原稿料、特急納品料、合意した回数を超える修正を項目ごとに記載するフリーライター向けの請求書テンプレート。報酬に含める利用範囲の書き方もガイドで案内します。

  • グラフィックデザイン請求書

    デザイン案制作、デザイン修正、印刷用データ納品などの項目をあらかじめ用意したグラフィックデザイン請求書です。数量と単価、税率を入力し、内容を確認したらPDFとして保存できます。

  • 適格請求書テンプレート(税率1種類)

    登録番号、取引年月日、1つの税率の合計額と消費税額を記載する無料の適格請求書テンプレート。10%と8%の品目が混在する取引は、税率ごとに書類を分けて発行してください。