インフルエンサー契約書で決めること:PR表記・二次利用・報酬

PR投稿の前にクリエイターと企業が書面で決めること。投稿内容と承認、PR表記、二次利用と広告配信の権利、競合排除、報酬の計算例を、QuoteBillのサンプル契約書に沿って説明します。

ひと目でわかる

読了目安 約6分

計算例 総額:200,000円+60,000円=260,000円

結論:PR投稿の前に書面で決めること

PR投稿が公開される前に、クリエイターと企業は次のことを書面で決めておきます。どのコンテンツを、どのアカウントに、いつ投稿するか。案を誰が何回確認するか。広告であることをどう表示するか。企業があとからそのコンテンツで何をできるか。競合排除、成果の報告、報酬と支払の時期、どちらかが取り消したときの扱いです。

もめやすいのは二次利用と広告の表記です。投稿の対価を払ったからといって、その投稿を広告として配信する権利まで買ったことにはなりません。また、対価を受けたことを隠した投稿は、国によってはクリエイターと企業の両方が広告のルールに反することになります。

投稿の前に決める項目

QuoteBillの「インフルエンサー協業契約書」のサンプルは、次の点を空欄にして決めさせます。

  • 投稿物:コンテンツごとのプラットフォーム、アカウント、形式、必要なら長さ。
  • 承認:投稿予定日の何日か前に案を送り、修正は1回、決めた期間に返事がなければ承認とみなすこと。
  • 投稿:投稿日と、削除や編集をせずに公開しておく期間。
  • 広告の表示:クリエイターがすべての投稿物に入れる、はっきりした「PR」や「広告」の表記。
  • 二次利用:企業がどこで、どれだけの期間コンテンツを共有できるか、有料広告は別の対価であること。
  • 競合排除、成果の報告、報酬、取消し、そして真実でないと信じる内容は述べなくてよいというクリエイターの権利。

広告であることの表示は契約の一部

日本では消費者庁が、2023年10月1日から、広告であるのに広告であることを隠す、いわゆるステルスマーケティングは景品表示法違反になると案内しています。規制の対象は商品やサービスを供給する事業者(広告主)で、依頼を受けたインフルエンサーなどの第三者は対象にならないと説明しています(2026年10月7日確認)。それでも表示を実際に入れるのは投稿するクリエイターなので、サンプルはプラットフォームのタイアップ投稿ラベルや投稿冒頭の「PR」「広告」の表記を例に挙げ、表示をクリエイターの責任とし、企業が訂正を求められるようにしています。

海外の視聴者に向けるなら、その国のルールも確かめます。米国連邦取引委員会(FTC)のインフルエンサー向けの案内は、ブランドとの金銭的、雇用上、個人的、家族的な関係を、無料や割引で受け取った商品も含めて開示するよう求めています。開示はプロフィールや「もっと見る」の先ではなく推奨そのものと一緒に置き、動画なら動画の中に、できれば音声と画面の両方で入れ、ライブ配信では繰り返します。「sp」や「collab」のようなあいまいな表記ではなく「ad」や「sponsored」のような分かる言葉を使い、プラットフォームのラベルだけで足りるとは考えないこととしています。

二次利用:共有と広告配信は別のもの

サンプルでは著作権はクリエイターに残り、企業は投稿の日から12か月間、クリエイターの名前を示して、自社のSNSアカウントとウェブサイトでコンテンツを共有、再投稿、埋め込みできます。有料広告への利用、ブーストやホワイトリスト化、店舗や印刷物での利用、トリミングやサイズ変更を超える編集には、クリエイターの同意と別の対価が必要です。企業は、コンテンツの外でクリエイターの名前、肖像、声を使いません。

企業が投稿を広告として配信したいなら、署名の前にプラットフォーム、期間、金額を代金明細に書いておきます。その権利は、投稿そのものより高くつくことがよくあります。

計算例:投稿3本と広告利用の追加

クリエイターがスキンケアの企業と、動画1本とストーリーズ2セットを契約します。説明のための金額で、動画は120,000円、ストーリーズは1セット40,000円で、消費税は含めていません。企業は動画を3か月間有料広告に使いたいので、60,000円を加えます。サンプルの初期値では、半分を契約の締結時に、残りを最後の投稿のあとに支払います。

企業が案を承認したあとで、ストーリーズを1セット取り消しました。サンプルでは承認済みの投稿物は全額を払うので、総額は変わりません。承認の前に取り消していれば、その投稿物の対価の半分にあたる20,000円を払います。

計算例:投稿3本と広告利用の追加
項目計算金額
コンテンツ120,000円+2×40,000円200,000円
動画を3か月間、有料広告に使う権利:60,000円
総額200,000円+60,000円260,000円
契約の締結時に50%で130,000円、最後の投稿のあとに130,000円

QuoteBillで契約し、請求する

「インフルエンサー協業契約書」「協賛・スポンサー契約書」「ブランドアンバサダー契約書」のサンプルを公開ページで全文まで読み、合うものを選んでログインし、空欄を埋めます。電子契約で送れば、クリエイターはアカウントなしでスマートフォンから署名できます。この署名は監査ログ付きの簡易な電子署名であり、高度電子署名や適格電子署名ではありません。QuoteBillは署名者が誰かを確認しませんから、これで足りるかどうかは契約と国によって異なります。サンプルの文面は法的助言ではありません。

契約の締結時の分は、署名済みの契約書で「この契約書から請求書を作成」を押し、「一部のみ」にして請求します。残りは最後の投稿のあとに請求します。契約書なしで請求するなら「クリエイター請求書」のテンプレートが合います。報酬の一部を商品で受け取るなら、その価額を代金明細に書きます。報酬が源泉徴収されるかどうかで振込額が変わるので、金額は源泉徴収の前の額で決めておき、扱いは「請求書の源泉徴収」で確かめます。企業がフリーランスに仕事を頼むときの取引条件の示し方は「フリーランス法の取引条件の明示」にまとめています。

署名前のチェックリスト

クリエイターも企業も、署名の前に確かめてください。

0/6

よくある質問

商品を無料でもらっただけでもPR表記は必要ですか?

米国FTCの案内は、無料や割引で受け取った商品も開示するよう求めています。日本の視聴者に向けた投稿なら、何が広告に当たるかを消費者庁の案内で確かめ、視聴者のいる国ごとのルールを確認してください。

企業は私の投稿を無断で再投稿できますか?

契約が認める範囲だけです。QuoteBillのサンプルでは、決めた期間は企業のチャンネルで共有でき、有料広告にはクリエイターの書面などでの同意と対価が要ります。

納得できない修正を求められたら?

サンプルは修正の求めを、商品に関する事実、法令やプラットフォームの要件、合意したブリーフに合わせるものに限り、真実でないと信じる内容は投稿を拒めるようにしています。

契約書で再生回数を約束するべきですか?

いいえ。リーチはプラットフォームしだいです。サンプルはコンテンツの制作と投稿を約束し、プラットフォームの数値を報告させます。

サンプル契約書・書式・ツール

参考資料

サンプル契約書119種類をすべて見る

無料の見積書・請求書・領収書テンプレート536種

  • クリエイター請求書テンプレート

    タイアップ動画、ストーリーズと投稿のセット、広告での二次利用料を項目ごとに記載するクリエイター・インフルエンサー向けの請求書テンプレート。投稿日や利用期間も整理できます。

  • SNS運用請求書

    月間コンテンツ計画、投稿制作、コミュニティ運営などの項目をあらかじめ用意したSNS運用請求書です。数量と単価、税率を入力し、内容を確認したらPDFとして保存できます。

  • マーケティング代行請求書

    月額運用手数料、コンテンツ制作、媒体費などの項目をあらかじめ用意したマーケティング代行請求書です。数量と単価、税率を入力し、内容を確認したらPDFとして保存できます。