リテイナー契約と時間制の違い:月額固定の請求と計算例

毎月定額のリテイナー契約(月額固定)と、使った時間だけ請求する時間制の違い。リスクの分かれ方、1四半期を両方で計算した例(644,000円と610,000円)、契約書に書くこと、それぞれの請求書の作り方をまとめました。

ひと目でわかる

読了目安 約6分

計算例 繰り越しがあれば、2か月目は20時間と繰り越しの3時間を使い、超過は1時間だけ:200,000円+11,000円=211,000円

結論:量が読めないなら時間制、毎月続くなら月額固定

仕事の量が読めず、取引先が使った時間の分だけ払いたいなら、時間制で請求します。取引先が継続して頼みたいなら、月額固定のリテイナー契約が合っています。取引先は毎月決まった額でこちらの対応と一定の作業時間を確保し、こちらは見通しの立つ収入を得ます。成果物がはっきりした仕事なら、どちらでもなく案件ごとの固定報酬が向いています。

どれを選ぶかは、仕事の量がどれだけ安定しているか、忙しい月と暇な月のリスクをどちらが負うか、双方が管理にどれだけ手間をかけられるかで決まります。

方式ごとのリスクの分かれ方

同じ仕事でも、次のように売り方を変えられます。

時間制
記録した時間の分だけ請求します。暇な月は取引先の負担もこちらの収入も少なく、忙しい月はその分をすべて請求します。
月額固定
毎月同じ金額で、決めた時間まで対応します。使わなかった時間は取引先の負担になり、超えた時間は別に請求します。
繰り越しのある月額固定
使わなかった時間を翌月に回します。多くは1か月分までで、暇な月の取引先の負担を和らげます。
固定報酬
決まった成果に1つの金額をつけます。時間が延びた分はこちらの負担なので、範囲と変更のルールが重要になります。
方式ごとのリスクの分かれ方
時間制月額固定繰り越しのある月額固定固定報酬
方式ごとのリスクの分かれ方記録した時間の分だけ請求します。暇な月は取引先の負担もこちらの収入も少なく、忙しい月はその分をすべて請求します毎月同じ金額で、決めた時間まで対応します。使わなかった時間は取引先の負担になり、超えた時間は別に請求します使わなかった時間を翌月に回します。多くは1か月分までで、暇な月の取引先の負担を和らげます決まった成果に1つの金額をつけます。時間が延びた分はこちらの負担なので、範囲と変更のルールが重要になります
自分の仕事に合う方式の選び方仕事が読めない波で来る毎週のように依頼があり、取引先が担当者を決めて頼みたい–終わりのはっきりした成果物を求められている

自分の仕事に合う方式の選び方

どの方式が合うかを手早く判断するための目安です。

  • 毎週のように依頼があり、取引先が担当者を決めて頼みたい:月額固定。
  • 仕事が読めない波で来る:時間制。予算を固めたい取引先なら、月の上限時間を決めておく。
  • 終わりのはっきりした成果物を求められている:固定報酬。その後の保守を月額固定にすることもできる。
  • 初めての取引先:1〜2か月は時間制で働き、実際にかかった時間をもとに月額固定を提案する。

計算例:1四半期を両方の方式で請求すると

マーケティングのフリーランスが、1社の仕事を3か月続けて、月ごとに17時間、24時間、20時間行いました。月額固定なら月200,000円で20時間まで、超えた時間は1時間11,000円。時間制なら1時間10,000円です。金額は説明用の例です。

1四半期で、月額固定は644,000円、時間制は610,000円になります。取引先は34,000円多く払う代わりにこちらの時間を確保し、こちらは毎月200,000円の下支えを得ます。1か月の繰り越しを認めると、1か月目に残った3時間で、2か月目の超過の大半をまかなえます。

計算例:1四半期を両方の方式で請求すると
項目計算金額
1か月目(17時間)月額固定200,000円、時間制17×10,000円170,000円
2か月目(24時間):月額固定200,000円+4×11,000円=244,000円、時間制24×10,000円=240,000円。
3か月目(20時間)月額固定200,000円、時間制20×10,000円200,000円
四半期の合計:月額固定200,000円+244,000円+200,000円=644,000円、時間制170,000円+240,000円+200,000円=610,000円。
繰り越しがあれば、2か月目は20時間と繰り越しの3時間を使い、超過は1時間だけ200,000円+11,000円211,000円

リテイナー契約書に書いておくこと

QuoteBillの月額業務委託(リテイナー)契約書のサンプルは、もめやすい点を空欄にして、自分で決められるようにしています。月額料金に含まれる時間(サンプルでは最大20時間)、使わなかった時間を失効させるか翌月に限り繰り越すか、依頼の方法と返信の目標、最初の3か月のあとは1か月ごとに自動で更新されること、終了するには30日前までに通知することなどです。追加の業務は、取引先が書面か電磁的方法で承認したあとに限って決めた時間単価で行い、作業時間の記録を請求書とともに渡します。

取引先の使った時間が少なくても月額料金は減らないこと、料金を変えるには前もって通知が要ること(サンプルでは60日前まで)、ソフトウェアのライセンスや広告費のような第三者への費用は月額料金に含まれず、実費で別に請求することも書かれています。ログインする前に、サンプルの全文を公開ページで読めます。サンプルであり、法的助言ではありません。

QuoteBillで方式ごとに請求書を作る

月額固定では、毎月1通、多くは前払いで、「11月分 月額業務委託(20時間まで)」のような品目に合意した金額を書いて請求します。超えた時間は翌月の請求書に、時間と時間単価を書いた別の行として入れ、作業時間の記録を添えます。代理店月額契約用取引残高明細書テンプレートを使うと、数か月分の月額の請求と入金、まだ残っている残高を1枚にまとめられます。

時間制なら、作業時間(タイムシート)請求書テンプレートが「時間」と「時間単価」の列を印刷するので、行ごとに作業時間が見えます。QuoteBillは時間を計ったり、月額に含まれる時間から差し引いたりはせず、入力した時間を印刷するだけです。報酬が源泉徴収の対象になる場合は、月額も源泉徴収の前の金額で取り決めます。詳しくは「請求書の源泉徴収」のガイドで確認してください。

月額固定で合意する前のチェックリスト

最初の請求書を出す前に、次の点を決めておきます。

0/5

よくある質問

リテイナー契約は、時間を前払いで買うのと同じですか?

少し違います。前払いの時間は使い切れば終わりですが、リテイナーは時間を使い切ったかどうかに関係なく、毎月こちらの対応を確保しておく対価で、ふつうは自動で更新されます。

取引先が毎月、時間をかなり余らせるときはどうしますか?

数か月たったところで、月額の規模を一緒に見直します。時間を減らして契約を実態に合わせれば、関係を公平に保ちやすく、取引先にも長く続けてもらえます。

月額料金は、前払いと後払いのどちらで請求しますか?

その月の対応を確保する対価なので、前払いがよく使われます。どちらにする場合も、契約書に書いておきます。

リテイナーに決まった成果物を含めてもよいですか?

かまいません。たとえば毎月ブログ記事を2本のように入れられますが、その成果物は固定報酬の仕事と同じくらい丁寧に定義しておきます。

サンプル契約書・書式・ツール

次のステップ:電子契約で署名をもらう

無料の見積書・請求書・領収書テンプレート536種

  • 作業時間(タイムシート)請求書テンプレート

    日付・作業内容・時間を明細ごとに入力し、時間単価を掛けて合計時間と税額まで計算する無料のタイムシート請求書テンプレート。エクセル・ワード・PDFに対応しています。

  • 代理店月額契約用取引残高明細書テンプレート

    月額契約料請求書 AG-221、媒体費精算請求書 AG-222、入金、月額契約料請求書 AG-230などの項目をあらかじめ用意した代理店月額契約用取引残高明細書テンプレートです。請求と入金を日付順に記入し、残高の推移と未払残高を示せます。

  • タイムシート(作業時間表)テンプレート

    日付ごとの作業内容、時間、時間単価を記入して請求書に添付するタイムシート(作業時間表)テンプレート。合計時間も計算されます。エクセル・ワード・PDFに対応しています。