電子契約に収入印紙はいらない?印紙税の国税庁見解と注意点
電子契約に収入印紙が不要な理由を国税庁の質疑応答事例と印紙税法から説明し、印刷した控えや紙の原本を交付した場合の扱い、紙なら印紙が必要な契約書の種類、建設業法・フリーランス法など電子にしても残る要件、QuoteBill電子契約の限界をまとめました。
結論:電子契約に収入印紙はいりません
電子データのまま締結した契約書に収入印紙は必要ありません。国税庁は質疑応答事例で、印紙税の課税対象は課税物件表に掲げる「文書」で電磁的記録は文書に含まれないため、電子メールで送った電磁的記録に印紙税は課税されないとしています。電子署名付きのPDFや電子契約サービスで結んだ契約書も同じです。
フリーランスのデザイナーが顧客と業務委託契約をオンラインで結べば、印紙はいりません。同じ内容を紙で2通作り双方が押印すれば、請負に関する契約書(第2号文書)などとして記載金額に応じた印紙税がかかります。
課税されるのは紙の「課税文書」だけ
印紙税法は別表第一の課税物件表に掲げる文書に印紙税を課し、課税文書の作成者に納税義務を負わせます(第2条・第3条)。課税文書とは、20種類の文書で証されるべき事項を当事者間で証明する目的で作成された非課税文書以外の文書です。
印紙税法基本通達第44条は、課税文書の「作成」を用紙などに課税事項を記載して目的に従って行使することと定め、相手方に交付する文書は交付の時に作成されたものとします。電子契約では紙への記載も交付もないため課税の原因が生じません。福岡国税局の文書回答事例(平成20年10月24日)も、注文請書のPDFをメール送信しても課税文書の作成に当たらないとしています。
印刷した控えと「原本」の扱い
署名済みの電子契約書を控えとして印刷しても印紙税はかかりません。タックスアンサーNo.7120は、ファックスや電子メールで送信した場合、正本は送付元に残り送付先に交付されていないため、送付先で出力された文書は写しと同様で課税対象にならないとしています。
ただし、写しと表示されていても、当事者の双方または所持者以外の一方の署名か押印があるものや、正本と相違ない旨の当事者の証明があるものは課税対象です。印刷した電子契約書に改めて双方が押印したり、メール送信後に紙の現物を交付したりすれば、その紙に印紙税が課されます。
紙で結ぶなら:印紙が必要になる主な契約書
紙の契約書に印紙が必要かは、20種類のどれに当たるかで決まります。例えば、不動産の譲渡に関する契約書(第1号文書)、注文請書など請負に関する契約書(第2号文書)、業務委託契約書のような継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)、売上代金の領収書(第17号文書)です。
税額は記載金額の段階ごとに定められ、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書と建設工事の請負に関する契約書には軽減措置があります。金額は国税庁の印紙税額の一覧表で確認してください。
秘密保持契約書(NDA)のように秘密情報の取扱いだけを定めた文書は、20種類のどれにも当たらなければ紙でも印紙はいりません。判断は名称ではなく内容で行われ、業務委託や報酬の定めがあれば別です。
電子にしても変わらないこと
印紙の有無は契約の成立や証明とは別の問題で、法律が書面や相手の承諾を求める取引では電子にしてもその要件は残ります。建設業法第19条は、建設工事の請負契約の内容を書面に記載し署名または記名押印して相互に交付することを求め、相手方の承諾を得た電子的な方法で代えることを認めています。フリーランス法(令和6年11月1日施行)第3条は、業務委託の取引条件を書面または電磁的方法で直ちに明示することを求め、電磁的方法で明示した後に書面を求められれば原則として遅滞なく交付するよう定めています。
保存の義務も残ります。帳簿書類の保存義務がある事業者が契約書に相当するデータを電子でやり取りした場合、電子帳簿保存法の電子取引のルールに従ってデータのまま保存する必要があり、印刷した紙だけでは足りません。要件は記録の保存のガイドで説明します。
QuoteBillの電子契約と送る前の確認
QuoteBillの電子契約で作成されるのは監査ログ付きの簡易な電子署名です。氏名、日時、IPアドレスを記録し、QuoteBill自身の記録である署名記録と、だれでも照合できる証拠ファイルを出力します。高度電子署名や適格電子署名ではなく、本人確認は行わず、タイムスタンプ局でも法令上の認証を受けた保存システムでもありません。印紙税の判断も行わず、法的助言や税務上の助言でもありません。業務委託契約書やNDAをオンラインに移す前に、次を確認してください。
- 契約は電子データのまま完結させ、紙の原本の交付や、印刷した控えへの押印・原本証明をしない。
- 建設工事やフリーランスへの委託など、法律が書面や承諾を求める取引か確認する。
- 署名完了後のPDFと証拠ファイルを自分で保存し、電子取引の保存ルールを守る。
- 判断に迷う文書は、国税庁の税についての相談窓口か税理士に確認する。
参考資料
無料の見積書・請求書・領収書テンプレート225種
適格請求書テンプレート(税率1種類)
品目、数量、単価、税額を入力し、プレビューで確認してPDFとして保存できます。支払条件と支払期日もあわせて記載できます。
無料見積書作成ツール
作業範囲、数量、単価、有効期限を入力し、プレビューで確認してPDFとして保存できます。承認されたらそのまま請求書に変換できます。
領収書テンプレート
受け取った支払いの日付、支払方法、対象の請求書、金額を記録し、PDFとして保存できます。
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