海外向け請求書の書き方:通貨コード・SWIFT・送金手数料
海外の取引先に送る請求書の書き方。USDなどの通貨コード、英語の口座名義・SWIFTコード(BIC)、送金手数料の負担(OUR・SHA・BEN)、支払期日と参照番号、輸出免税と円換算の確認先を例で説明します。
ひと目でわかる
結論:海外から支払ってもらう請求書に書くこと
海外の取引先に送る請求書は、相手の経理と銀行が、何を、どの通貨で、どの口座へ、いつまでに、どの参照番号で払えばよいかを一目で分かるようにします。銀行の情報が一つ欠けたり違ったりするだけで、海外からの送金は途中で止まることがあります。通貨と送金の経路は納品の前に合意し、請求書には次の項目を書きます。
- 金額と通貨コード。「$」の記号だけでなく、USD 3,000.00やEUR 2,000.00のように書きます。
- 銀行に登録されているとおりの英語の口座名義、口座番号(IBANがある口座ならIBAN)、銀行のSWIFTコード(BIC)。
- 暦の日付で書いた支払期日と、送金の参照欄に入れてもらう請求書番号。
- 取り決めたときは、送金手数料をどちらが負担するかの一文。
- 税理士と確認した、消費税の扱いについての文言があればその文言。
口座情報:IBAN、BIC、SWIFTコードの違い
IBANは一つの支払口座を識別する国際的な口座番号、BICは銀行を識別するコードで、多くの銀行がこれをSWIFTコードと呼んでいます。EUのSEPA規則(Regulation (EU) No 260/2012)は第2条でこの二つを定義し、第5条第7項で、EU域内のユーロ建ての振込について銀行が利用者にBICの記入を求めないことを定めています(2026年10月7日確認)。EU域内のユーロ送金ではIBANが要になりますが、日本との間の送金のようにその仕組みの外の送金や、ほかの通貨の送金では、BICも一緒に使われるのが普通なので、両方を書いておきます。
英語の口座名義、口座番号、SWIFTコードは、昔の請求書からではなく、取引銀行の海外からの送金の受け取りに関する案内やネットバンキングの画面から写します。すべての国の口座にIBANがあるわけではありません。自分の口座にIBANがなければ欄を無理に埋めず、銀行が海外からの入金用に案内している口座番号と銀行のコードを書きます。その口座が請求する通貨で入金を受けられるかも銀行に確かめ、振込先が変わったと知らせるメールは、前から知っている連絡手段で確認が取れるまで疑ってください。
通貨は一つに決めてコードで書く
請求する通貨は一つに決め、コードで書きます。「$」だけでは、USD、CAD、AUDのどれなのか分かりません。別の通貨で払ってもよいと合意したなら、どの為替レートを、どの日付のもので、誰が計算するのか、手数料は別なのかを書いておきます。説明のない合計を二つ並べると、取引先がどちらか好きなほうを払えばよいように見えてしまいます。
例えば、仕事の代金をUSD 2,000と決め、USDで受け取るとします。計画のために仮に1 USD=150円とすると、円での参考額はUSD 2,000×150円=300,000円です。この為替レートは今の相場ではなく、取引先が払う額はUSD 2,000のまま変わりません。
送金手数料と、入金が足りないとき
海外送金は、送る側の銀行、中継銀行、受け取る側の銀行を通る間に、一部が手数料として差し引かれることがあります。多くの銀行は送金する人に手数料の負担のしかたを選ばせていて、OUR(送金人がすべて負担)、SHA(それぞれが自分の銀行の手数料を負担)、BEN(手数料を送金額から差し引く)というコードがよく使われます。契約で方法を決め、請求書にも「送金手数料はすべて送金人負担(All transfer charges are paid by the sender, OUR)」のように書いておきます。
入金があったら、着金した額を請求書と比べます。USD 3,000.00を請求してUSD 2,975.00が着金し、契約で送金人がすべての手数料を負担すると決めていたなら、USD 25.00がまだ支払われていません。根拠になる契約の一文を添えて、不足分を改めて案内します。QuoteBillの書類の状態は、銀行の入金の照合ではありません。
消費税の扱いと円への換算は別に確認する
取引先が海外にいるというだけでは、税の扱いは決まりません。国税庁のタックスアンサー「No.6551 輸出取引の免税」は、課税事業者が行う輸出取引等は消費税が免除され、その一つが非居住者に対する役務の提供だと説明しています。ただし、国内にある資産の運送や保管、国内での飲食や宿泊など、非居住者が国内で直接便益を受けるものは免税にならず、免税を受けるには、役務の提供なら一定の事項を書いた契約書などの書類を7年間保存して、輸出取引等であることを証明する必要があります(2026年10月7日確認)。自分の取引が当たるかどうかは内容によって判断が分かれるので、税理士か税務署に確かめてください。
帳簿や消費税の計算に使う円の金額について、国税庁の消費税法基本通達10-1-7は、外貨建ての取引の対価の額を、所得税や法人税の計算で売上などを円に換算して計上する金額によるとしています(2026年10月7日確認)。QuoteBillはこの換算をしません。EUの取引先なら、欧州委員会がEU共通のVATインボイスのルールと加盟国ごとのルールを説明していますが、日本の事業者の請求書にどの文言が要るかは取引によるので、相手の経理か専門家に確認します。このガイドは税務上の助言ではありません。
計算例:米国の取引先にドルで請求するロゴ制作
東京のデザイン事務所が、ニューヨークの取引先とロゴ制作をUSD 3,000で契約しました。USDで14日以内に受け取り、送金手数料はすべて取引先が負担します。請求書INV-2026-0050は2026年10月7日に発行するので、支払期日は2026年10月21日です。名前と数字は説明のためのものです。
- 品目:Logo design(ロゴ制作)、USD 3,000.00。
- 支払:2026年10月21日までに、下に書いた英語の口座名義、口座番号、SWIFTコードへUSD 3,000.00を送金し、参照欄にINV-2026-0050と入れてもらうよう案内します。
- 手数料:送金手数料はすべて送金人負担(OUR)。
- 税:海外の取引先への役務の提供について、事務所の税理士が確認した扱いと文言。
- 言語:取引先が読めるように、「書類の言語」を英語にして作ったPDF。
QuoteBillでの作り方と、送る前のチェックリスト
編集画面の「国 / 通貨」は、税の計算の出発点と、ほかを選ばなかったときの通貨を決めます。その横の「通貨」欄では、国の税のルールはそのままで、金額だけを別の通貨で書けます。日本の事業者が米国の取引先にUSDで請求するときがそうで、選んだ通貨はUSD 1,000.00のように通貨コードを付けて印刷されます。「書類の言語」は、書類の項目名の言語を別に選ぶ欄です。国を変えても通貨を変えても、入力済みの単価が為替レートで換算されることはありません。国を変えると、自分で決めた税率と地域も元に戻るので、税率を確かめ直してください。
口座情報、手数料の負担、参照番号は「取引条件」か「備考」に書きます。口座情報だけを入れる欄はありません。「合計を換算する」は、欧州中央銀行が公表したその日の参考レートか、自分で入力したレートで合計を別の通貨で示し、「書類に備考を追加」を押すと、その結果を「参考情報です」と明記した一行として備考に入れます。QuoteBillは書類の単価や合計を換算せず、二つの通貨に分けた税額の表示も作りません。取引にそうした表示が必要なら、それを作れる会計や請求のシステムを使ってください。
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よくある質問
SWIFTコードとBICは同じものですか?
同じコードを指します。BICは銀行を識別するコードの名前で、多くの銀行がこれをSWIFTコードと呼んでいます。請求書に「SWIFT code (BIC)」と両方の名前で書いておけば、どちらの言い方をする取引先にも伝わります。
円とドルの金額を並べて書いてもよいですか?
請求額は一つの通貨で決め、円の金額が必要なら、参考であることを明記した一行にとどめます。説明のない合計が二つあると、取引先はどちらを払えばよいのか迷います。
手数料で入金が少なかったときはどうしますか?
まず契約で決めた負担のしかたを見ます。送金人がすべて負担する約束なら、不足額を根拠とともに改めて案内します。SHAのようにそれぞれが負担する約束なら、受け取る側で差し引かれた手数料は請求し直せる額ではないこともあるので、契約の文言を確かめます。
海外の取引先への請求書にも消費税をかけますか?
取引によります。非居住者に対する役務の提供は輸出免税になることがありますが、国内で直接便益を受けるものは課税されるなど、内容によって判断が分かれます。税理士か税務署に確かめ、その結果に合わせてQuoteBillの「税率 (%)」を設定します。
サンプル契約書・書式・ツール
参考資料
無料の見積書・請求書・領収書テンプレート536種
空白の請求書テンプレート
商品またはサービスなどの項目をあらかじめ用意した空白の請求書テンプレートです。数量と単価、税率を入力し、内容を確認したらPDFとして保存できます。
コンサルタント向け請求書テンプレート
時間単価またはプロジェクト単位のコンサルティング業務、調査、報告書納品の請求書を作成できます。支払条件を加え、合計を確認してPDFに出力しましょう。
販売請求書テンプレート
販売商品、商品配送料、ギフト包装などの項目をあらかじめ用意した販売請求書テンプレートです。数量と単価、税率を入力し、内容を確認したらPDFとして保存できます。
コマーシャルインボイス(商業送り状)テンプレート
HSコード、原産国、インコタームズ、港、重量、梱包数と申告文を記載できる、輸出用の商業送り状(コマーシャルインボイス)テンプレート。PDF保存、エクセル・ワードにも対応。通関の要件は事前にご確認ください。
無償サンプル用コマーシャルインボイステンプレート
生地見本、製品試作品、印刷カタログなどの項目をあらかじめ用意した無償サンプル用コマーシャルインボイステンプレートです。HSコード、原産国、インコタームズを記入し、通関の要件は事前に確認します。