請求書に但し書きは必要?書き方・領収書との違いとインボイス

請求書に但し書きは必須ではありません。適格請求書の6つの記載事項、領収書の但し書きの書き方と「お品代として」を避ける理由、課税対象外の内訳の書き方を国税庁の資料で確認します。

ひと目でわかる

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結論:請求書に「但し書き」は必須ではありません

請求書に「但し書き」を書くことは、法律上の決まりではありません。インボイス制度の適格請求書に必要な記載事項は、発行者の氏名または名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分した合計額と適用税率、税率ごとの消費税額等、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称の6つで、「但し書き」という項目は入っていません(国税庁インボイス制度Q&A問54、2026年10月6日確認)。

請求書では、何の取引かを示す「取引内容」を、明細の品名や内容の欄に書きます。「但し書き」が大きな意味を持つのは領収書のほうです。領収書の「但」の欄は何に対する支払いかを書く場所で、インボイスとして使う領収書では、この欄が取引内容を示すことになります。

このガイドは国税庁の公開資料の確認にとどまる一般的な情報で、税務上の助言ではありません。取引先が自社の経理のために書き方を指定することは、国税の要件とは別の話です。

「但し書き」と「取引内容」の違い

「但し書き」は、領収書に「但」と書いて、何の代金かを添える日本の慣行です。法律の用語ではなく、国税庁の資料では領収書の見本の「但」の欄として出てきます。一方の「取引内容」は適格請求書の記載事項の一つで、課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容を指します。軽減税率の対象品目があるときは、その旨も書きます(問54)。

同じことを、請求書では明細に、領収書では但し書きに書く、と考えると整理できます。国税庁は、書類の名称を問わず、必要な事項が書かれていればインボイスになるとしています(インボイス制度について)。請求書か領収書かではなく、6つの事項がそろっているかどうかが基準です。

請求書の場合:明細と件名で足りるのがふつうです

インボイスとして請求書を出すとき、取引内容は明細の品名や内容で足ります。国税庁のリーフレットは、請求書の取引内容が「※納品書No.1〜23」のように納品書を指していても、請求書と納品書を合わせて記載事項がそろえばよいという例を挙げています。取引年月日も、一定の期間をまとめて「R6年1月分」のように書いてよいとされています(マンガでわかるインボイス記載事項、令和6年3月改訂)。

請求書に「但し書き」の欄がなくても、実務では「件名」や「摘要」で何の請求かを一言書くことがよくあります。これは国税庁の要件ではなく、相手の経理が請求内容を確認しやすくするための慣行です。「9月分ウェブサイト保守料」のように、期間と内容を書くと照合しやすくなります。

  • 請求の対象になる期間や案件名を書きたいとき。例:「2026年9月分 ウェブサイト保守料」。
  • 内金と残金に分けて請求するとき、どちらの請求かを示したいとき。
  • 報酬と立替金など、性質の違う金額を分けて示したいとき。
  • 取引先から、注文番号や件名の記載を求められているとき。

領収書の場合:但し書きが役に立つ場面

領収書は、お金を受け取ったことを示す書類です。国税庁のQ&Aは、適格請求書も適格簡易請求書も手書きの領収書で交付できるとしています(問58-2)。小売業や飲食店業など不特定多数を相手にする事業が交付する適格簡易請求書では、宛名の記載は要らず、「上様」という書き方も可能です。税込価額が書かれていれば、税抜価額を書く必要もありません。

国税庁の見本は、領収書の「但」の欄に「飲食費として」と書いています。リーフレットは「お品代として」と書かれた領収書について、これでは何の取引か分からないと指摘し、「飲食代として」と書き直した例を示しています。インボイスを兼ねる領収書では但し書きが取引内容を示す欄になるので、「お品代」のように何の取引か読み取れない書き方では、取引内容を書いたことになりにくい、というのが国税庁の説明です。

一枚の領収書に課税対象外のものが含まれるときも、但し書きが役に立ちます。国税庁のQ&Aは、宿泊料16,500円のほかに入湯税150円を受け取った場合、領収金額には実際に受け取った16,650円を書き、但書きに「入湯税」を加え、左下の金額欄に課税資産の譲渡等に係る税込価額16,500円を書く例を示しています(問58-2)。

  • インボイスとして使う領収書で、取引内容を示したいとき。
  • 課税対象外の金額(入湯税など)を含み、内訳を示したいとき。
  • 内金・残金など、一部の入金であることを示したいとき。
  • 経費精算で、何の費用かを相手の経理が説明できるようにしたいとき。これは国税の要件ではなく実務の慣行です。

但し書きの書き方:よい例と避けたい例

書き方に決まった型はありません。何に対する支払いかが読み取れることが目安です。国税庁の見本に出てくる二つの例と、よく使われる書き方を並べます。

広い言葉の但し書きは、あとで取引先の経理から問い合わせを受けたり、書き直しを頼まれたりしやすくなります。これは実務上の一般的な傾向で、国税庁の要件ではありません。

国税庁の見本
「飲食費として」「飲食代として」。
国税庁の見本(課税対象外を含む場合)
「宿泊費・入湯税(150円)として」。
業務の例(書き方の例)
「9月分ウェブサイト保守料として(請求書INV-2026-0042)」。
分割入金の例
「内金として」「残金として」に、請求書の番号を添える。
避けたい例
「お品代として」「代金として」「雑費として」だけで、何の取引か分からない書き方。

計算例:請求書の消費税と、領収書の内訳

どちらの書類でも、金額の書き方はインボイスの要件に従います。国税庁のQ&A(問57)の請求書の例では、10月分100,000円(税込)のうち、10%対象が60,000円、8%対象が40,000円です。消費税額等の端数処理は、一つの書類につき税率ごとに1回です。60,000円×10/110≒5,454円、40,000円×8/108≒2,962円で、合計は5,454円+2,962円=8,416円です。商品ごとに端数処理して足すことは認められません。

領収書の例は、宿泊料16,500円と入湯税150円です。16,500円+150円=16,650円が領収金額になります。税込16,500円は10%の対象で、消費税額等を書くなら16,500円×10/110=1,500円です。但し書きには「宿泊費・入湯税(150円)として」と書き、入湯税の150円は税率ごとの金額に入れません。

書き方の見本:請求書1通と領収書2通

次の見本は、書き方の説明のために作った例で、実在の取引ではありません。ウェブサイト保守を月額で請け負う個人事業者が、請求書を1通出し、内金と残金で領収書を2通出す場合です。登録番号は、国税庁の見本と同じ形の仮の番号です。

請求書INV-2026-0042の件名は「2026年9月分 ウェブサイト保守料」で、明細はサーバー保守1式が30,000円、コンテンツ更新4回が4×5,000円=20,000円です。小計は30,000円+20,000円=50,000円、消費税等は10%の5,000円、合計は55,000円になります。この請求書に「但し書き」の欄はなく、明細の品名と件名が取引内容を示します。

内金を22,000円受け取ったときの領収書の但し書きは、「9月分ウェブサイト保守料の内金として(請求書INV-2026-0042)」です。22,000円は税込で、10%対象、消費税額等は22,000円×10/110=2,000円です。残金の33,000円を受け取ったときは、但し書きを「9月分ウェブサイト保守料の残金として(請求書INV-2026-0042)」とし、消費税額等は33,000円×10/110=3,000円です。22,000円+33,000円=55,000円、2,000円+3,000円=5,000円で、請求書の合計と消費税額に一致します。

請求書
件名と明細で取引内容を示し、合計55,000円、消費税等5,000円。
領収書1通目
内金22,000円(税込、消費税額等2,000円)。但し書きに「内金として」と請求書番号。
領収書2通目
残金33,000円(税込、消費税額等3,000円)。但し書きに「残金として」と請求書番号。

適格請求書の6つの記載事項と、書く場所

適格請求書の6つの記載事項に、但し書きは入っていません。請求書と領収書で、同じ6つを書く場所が違うだけです。適格簡易請求書では、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称が不要で、税率ごとの消費税額等か適用税率のどちらか一方で足ります(問58)。

発行者の氏名または名称と登録番号
差出人の欄。登録番号は「T」に13桁の数字です。
取引年月日
請求日や取引日。一定の期間をまとめて書くこともできます。
取引内容
請求書では明細の品名と内容、領収書では但し書き。軽減税率の対象品目はその旨も書きます。
税率ごとに区分した合計額と適用税率
合計欄。税抜でも税込でもかまいません。
税率ごとに区分した消費税額等
端数処理は1書類につき税率ごとに1回です。
書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
宛名。適格簡易請求書では省略できます。

QuoteBillで請求書・領収書を作る

QuoteBillの書類には「但し書き」という名前の欄はありません。何の代金かは、「項目」の「品目」と「説明」、必要なら「備考」に書きます。請求書を開いて「この請求書の領収書を作成」を選ぶと、同じ取引先と明細、新しい番号、対象請求書の番号が入った下書きが開きます。明細の内容を、領収書の但し書きにふさわしい書き方に見直してください。

QuoteBillは、書類の構成と項目名を用意します。登録番号と取引内容は、利用者が入力してください。QuoteBillの書類は、適格請求書の要件を満たすことを保証するものではなく、書き方の可否を判断するものでもありません。1通の書類に適用できる税率は1つなので、8%と10%の品目が混在する取引の適格簡易請求書は作れません。

  • 請求書:明細の品目と説明で、何の取引か分かるか。
  • 領収書:但し書きの代わりになる品目・説明が、「お品代」のような広い言葉になっていないか。
  • 課税対象外の金額(入湯税など)を含むとき、その内訳を書いたか。
  • 登録番号を、「T」に13桁の数字の形で入力したか。
  • 紙で渡す領収書に印紙が必要かどうかを、「領収書に収入印紙は必要?」のガイドで確認したか。

よくある質問

請求書に但し書きがないと、インボイスになりませんか?

いいえ。適格請求書の記載事項に「但し書き」はありません。取引内容が明細などで分かり、6つの記載事項がそろっていればインボイスになります(問54)。

領収書の但し書きは「お品代として」でもよいですか?

但し書きの文言は法律で決まっていません。ただ、インボイスを兼ねる領収書では、国税庁のリーフレットが「お品代」では何の取引か分からないと説明しているので、「飲食代として」のように具体的に書くのが無難です。

請求書にも「但し書き」と書いたほうがよいですか?

必須ではありません。件名や備考に、期間と内容を一言添える程度で十分です。取引先から書き方を指定されたときは、その取り決めに従います。

但し書きを空欄にしてもよいですか?

インボイスとして使う領収書では取引内容が必要なので、空欄は避けます。インボイスとして使わない場合の書き方は法律で決まっていませんが、何の代金かを書いておくと、取引先の経理が確認しやすくなります。

参考資料

無料の見積書・請求書・領収書テンプレート536種

  • 領収書テンプレート

    支払日・支払方法・対象の請求書番号・受領金額を記入する無料の領収書テンプレート。エクセルとワードでダウンロード、またはオンラインで作成してPDFで送れます。

  • 適格請求書テンプレート(税率1種類)

    登録番号、取引年月日、1つの税率の合計額と消費税額を記載する無料の適格請求書テンプレート。10%と8%の品目が混在する取引は、税率ごとに書類を分けて発行してください。

  • 無料請求書作成ツール

    ロゴ、取引先、品目、税率を入力して請求書をオンラインで作成できます。プレビューで体裁を確かめたら、そのままPDFとして保存。無料の会員登録だけでお使いいただけます。